「川島芳子は生きていた」とのドキュメンタリー。え、これでいいの?
川島芳子のドキュメンタリーを放送していました。
《報道発 ドキュメンタリ宣言》
《 昭和史最大のスクープ
“男装の麗人” 川島芳子は生きていた!》
http://www.tv-asahi.co.jp/d-sengen/sp/index.html
川島芳子とは、満州国、清朝の王女でありながら、
日本人の養女となり、男装の麗人として、スパイ活動をし、
売国奴として、処刑された人物です。
http://www.tv-asahi.co.jp/d-sengen/sp_pop.html
その川島芳子が、実は、処刑されておらず、
生き残っていた…。
それを検証したのが、今回のスペシャルの内容だったようです。
そのニュースは、2008年秋、多くの新聞に掲載されていました。
2008年11月18日、四国新聞社。
《川島芳子、78年まで生存?/関係者証言と中国紙報道》
http://www.shikoku-np.co.jp/national/international/article.aspx?id=20081118000301
この番組はそれをきっかけに、取材を開始し、
「川島芳子は生きていた」との結論に達したとして
流されていたのです。
テレビ朝日は、2008年、同じくこの
川島芳子を描いたドラマを放送しています。
《男装の麗人~川島芳子の生涯~》
http://www.tv-asahi.co.jp/dansou/
これに関しては、《男装の麗人・川島芳子伝 (文春文庫)》(アマゾン)
を書かれた上坂冬子さんが、苦言を呈しておられます。
産経新聞、2008年12月20日。
《【老いの一喝】ノンフィクション作家・上坂冬子 何をいまさら川島芳子》
http://sankei.jp.msn.com/entertainments/media/081220/med0812200403000-n1.htm
2008年8月16日、産経新聞。
《【TVエンタメ】テレビ朝日系「男装の麗人~川島芳子の生涯~(仮題)」》
http://sankei.jp.msn.com/entertainments/entertainers/080617/tnr0806171534007-n1.htm
このドラマも確か川島芳子は、
処刑は逃れ、生き延びた…との説をもとに描いていましたね。
それに続いての、ドキュメンタリーなんですが、
見ていて、疑問だらけ。
こちらは、ダイジェスト動画。
http://www.tv-asahi.co.jp/d-sengen/story.html
こちらがこの特別番組のスペシャルサイト。
http://www.tv-asahi.co.jp/d-sengen/sp/index.html
取材報告として8つの項目を立てて、
レポートをしているのですが…。
《「川島芳子は生きている」、我々はそれを確信した》
などとナレーションが流れます。
けれど川島芳子と思われる女性(方おばあさん)に
育てられた(という)中国人の方の証言以外、確たるものがない…。
様々な「物証」も出てくるのですが、それらは川島芳子が
処刑されず生存したことの裏付けにはなっていません。
最後にDNA鑑定、指紋の検証も行ったのですが、
方おばあさん=川島芳子とは結論づけられず。
え、もしかしたら最後に、何かあるのかと思っていたのに…。
つまり客観的な証拠はなにもナシ。
(もしかして見落とした? ありましたっけ?)
それでもなお番組は、
川島芳子は処刑されていなかった、生きていた旨、主張します。
この番組を見ただけでは、少なくとも自分は、
川島芳子が生きていたと納得できませんでした。
「スタッフ日記」として、ディレクターの
後藤はなさんという方が、
《#14「昭和史最大のスクープ “男装の麗人”
川島芳子は生きていた! 」 編集後記》をサイトに書かれています。
http://www.tv-asahi.co.jp/d-sengen/contents/diary/cur/index.html
それを読むと、この方は
《「方おばあちゃん」=川島芳子であると、99.9%確信している。》そう。
その根拠は?
証言者の女性の、
《証言には一貫性があり、ディテールの辻褄も合っている・・・。》
《続々と現れる「方おばあちゃん」の遺品と、川島芳子とを結ぶ共通点。》
DNA鑑定、指紋は難航するからと、
《細かな状況証拠を「集めまくって」勝負するしかない。》ということで、
《私たちはまず、「方おばあちゃん」の見た目の特徴、生活習慣、特技などを
徹底的にリストアップし、芳子に関する資料や証言とつき合わせた。》ようです。
《2人の共通点はざっと60項目にも及ぶ。》そうなんですが、
《放送に反映できたのは、そのごく一部である。》
えー。
出してくれないと。
放送に出たものだけで判断すると、
両者派同一人物と断定できなかったのですが…。
さらに取材陣は、
《「方おばあちゃん」を匿った人々の素性について、私たちはすでに、
重要な手がかりをいくつもつかんでいる。(これも時間の関係で、
番組では触れられなかった。)》
ありゃー。
そうですか。時間の関係でねー。
(今回は2時間のスペシャルでした)
この番組をご覧になっていた方は、どう感じられたのでしょうか?
様々な制約があるとは思いますが、
テレビ番組の場合、放送されたものだけで
当否が判断されても文句を言えませんね。
繰り返しますが、見た限りでは、
方おばあちゃん=川島芳子であると
客観的に立証できていなかったように思います。
「編集後記」によれば、
まだまだ今回の放送に反映できなかった取材事実がある
ようですから、次回は、是非、それらを
番組内に出していただくことを切望いたします。
コメント 0