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上海がには、ドイツに限る。安くて美味い「エルベがに」まもなく上陸? [グルメ]

去年の秋、銀座の中華料理店で中国茶の会があった時、
何やら、調理場が大騒ぎしていました。

食事中にはお茶を飲まない中国人、飲茶でビールを飲む日本人

理由は、仕入れた上海がにが逃げ出し、行方不明になったから。

なぜ、それが問題なのかというと、上海がには、生態系に被害を
与える特定外来生物として外来生物法で、繁殖や取り扱いに関して、
厳しい規制がかけられているから。逃げ出したら大変なことになるのです。
(2006年2月から)

ですから田んぼをつぶして養殖していた所が、
対策にお金がかかり過ぎるため、事業の継続を断念した例もあったそう。

2月24日産経新聞ウェブ版に
ドイツ産「上海ガニ」厄介者から高級食材へ》との記事。

《ドイツ北部のエルベ川流域で》《「上海ガニ」の繁殖に悩まされていた
漁師らが「厄介者」退治から「高級食材」販売へと発想を転換、
今では本家中国への逆輸出が計画されるなど人気急上昇中だ。》

なぜ、中国から遠いドイツに上海がにが繁殖しているかというと、
《約100年前に貨物船に乗って上陸した》から。

《中国からハンブルク港に寄港した貨物船のバラスト水に混入して上陸した。》
というのですね。
バラスト水は、船がバランスをとるための水です。
荷物を積む前に港に捨てます。ですからその水に上海がにの幼生や
卵があり、条件があうと繁殖してしまうのですね。

上海がには、外来生物種に規制されたことでもわかるように、
非常に繁殖力が強いのだそうです。

中国人をはじめ、日本人もおいしく頂いているこの上海がに。
現地では食べないのか?

《ドイツでは北部を中心にマスやウナギなどの川魚は食べるが、一般にカニ
は食用と》しないのだそうです。それより《「奇妙な味」と敬遠されてきた。》と
言うんですね。

味覚は国や地域によって違うとはいうものの、奇妙な味と言われては…。

というわけで、上海がには、《漁師にとっては長い間、漁網を破り、在来魚を
追い払うだけの邪魔者だった》のです。

ところが、《近年は状況が一変。》
なぜなら、《中国人やベトナム人が上海ガニを競うように買い付けに来る》
ようになったから。
《「春から秋のシーズンはほぼ毎日。冬は週に1、2度かな」。》と現地の
漁師が言うくらいのモテモテぶりとのこと。

ある漁師《一家は20世紀初頭からカワカマスやウナギ漁で生計を立てて
きたが、「今では上海ガニが収入の3分の1ぐらい」。》といいますから、
馬鹿に出来ない存在ですよね。
しかも養殖しているわけでなく、自然発生的にいるものをとって、生け簀に
いれておくだけですから、漁師にとってはありがたいでしょうね。

100年の歴史の中、漁師は困っていたわけですが、《1990年に東ドイツが
崩壊し旧式の重工業が破綻(はたん)した結果、河川の水質が改善し、
増加の一途に。》と、ドイツ統一が思わぬ影響をもたらしました。

増えたことによって《ベルリンやハンブルクの中華料理店経営者らが
うわさを聞きやってきた。上海や香港に試験的に輸出する人がいたほか、
日本人が取引所の計画を持ち掛けたことも。》

風がふけば桶屋がではないですが、ベルリンの壁崩壊がドイツ産上海がに
が邪魔者を商品にしたということになるのでしょうか。

さて、肝心の味と値段ですが、《ベルリンの中国大使館担当者は「夏と秋に
買い、大使館でいつも食べているが味も上々だ」と満足げ。同市内で貿易
会社を営むユー・ワン氏は「中国では値段が上がりすぎた。7月から香港に
定期的に輸出したい」》のだそう。

元がかからず、現地ではほとんど需要がないものですから、
漁師は、安くても値がつけば嬉しいでしょうね。

上海がには、シナモクズガニ。(シナを避けてチュウゴクと表記しているものも)
最初、香港で初めて生から蒸しあげたものを食べた時、
この身の味は、食べたことがあるぞと思いました。
そう日本の川にいるモクズガニ。
(藻屑ガニ。「モズクガニ」と書き間違える人が多いそう。
あの毛は海藻の「もずく」みたいだしね、名前は、繁殖を終えると
海の藻屑のように消えていくからついたという説もあるとか)

随分前になりますが、友達の知り合いが九州から川でとれた
天然のモクズガニを送ってくれ、みんなで食べたことがあります。
中華風に蒸したり、素揚げにして食べたのですが、淡白でしたが、
しみじみと味わい深い味でしたね。
但し、あのみその量と味は、本物には及ばないですけどね。

父にきけば、小さい頃は、田舎にいき、蟹かごの中に「ふすま」
(もしかしたら「おから」だったかもしれません)をいれて、川に沈めて
おいて、次の朝、引き揚げにいくと、かごの中が真っ黒に染まるくらい
とれたそうです。

爪についた毛を掃除し、臼にいれ、杵でつき、どろどろにしたものを
漉して味噌汁にいれたり、身の部分を団子のように丸めて煮て
食べたりしたそう。

自分でそうして食べたことはありませんが、伊豆に行った時に、
旅館で味噌汁は頂いたことがあります。(河津町、地元ではズガニと言う)
出汁の味が濃かったのを覚えています。

《伊豆の“食”紀行》、《教えたくない山里の贅沢 ズガニ》によれば、
《ズガニまつり》なんてのもあり、《ズガニづくし》を出す民宿も。
河津はそろそろ河津桜が咲いている頃では?
(3月10日まで《河津桜まつり》を開催中だ。いくかね。桜とズガニのために)

ずっと研究を続けている小林博士の《モクズガニ生態図鑑》。
上海ガニについて》で、ドイツはじめ世界に広がったことを書かれています。

なお生きたままの上海がにを、日本へ持込ことは出来ません。
その場合、税関で没収されることになるのでご注意を。
成田空港税関、持ち込み禁止・既製品

日本で上海がにの養殖に最初に成功したのは、
平成13年、福島県いわき市川部町の「川部かに牧場」が最初とか。
はじめは、地元の名産だったモクズガニを次に上海がにに挑戦、
苦労の末、見事に成功したそう。
外来生物規制法が出来たことによる規制への対策も施して、
養殖を続けているよう。
(一般人に、活蟹を送れなくなったのは残念)
福島育ちの「上海蟹」(シャンハイカニ)大サイズ(約120g)【メス】1kg
もしかして、もう販売期間終了? だったら悲しいな。

本場物の輸入も終了しているみたい、うーん。

身がだめならみそがあるさ。
お馴染みの箱崎の古樹軒さんの旬の上海がにのメス40匹分のみそを
集めたこれはどうだ。これでカニミソチャーハンとか
スープ作ったら、悶絶しそう。
上海蟹みそ 20070222宣言10
でも身も食べたいな。そこは、よだれが思わず出そうな活字で我慢するか。
満漢全席を経験した南條竹則さんの、
中華満喫》(楽天ブックス)
中華満喫》(アマゾン)
食べるならやっぱり香港だよなー。
中国、香港、好好食!》(楽天ブックス)
中国、香港、好好食!―本物の味をもとめて 》(アマゾン)
「上海蟹とロールスロイス」の間にはどんな関係があるのでしょうか?
香港の食の物語―中国大陸の美食をはるかに超えた街》(アマゾン)

 


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コメント 1

&oh

通りすがりですがコメントさせていただきます。

上海蟹、ドイツでは爆発的に増えたとの事ですが、韓国では河川の汚染で姿を消し、わざわざ種苗放流までして水産資源を維持しているそうです。

片や増えすぎて厄介者、片や種苗放流…。複雑な気分です。
by &oh (2020-04-10 23:28) 

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