SSブログ

アメリカ初代大統領ジョージ・ワシントンは、桜の木を切って、謝ったのか?

まもなくサクラの季節ですね。

サクラに関して、おやっと
気になる記述がありました。

2010年3月5日、産経新聞。《産経抄》
【産経抄】3月5日
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100305/plc1003050239004-n1.htm
《父親が大事にしていた桜の木を切ったことを、
少年時代のワシントンが正直に打ち明け、
かえって父親からほめられた。
実は創作といわれる教訓話は、いかにもアメリカらしい。
つまり告白したワシントンは、謝罪をしていない。

 ▼作家の村上龍さんの指摘である。》

皆さん、小学校、中学校ごろに、このワシントンの桜の話は、
本で読んだり、親、先生から聞かされませんでしたか?

その時の記憶と少し、ちがっているのですが…。
上の記述だと、ワシントンは、謝っていないことになっています。
たんに正直に桜の木を切ったと告げただけだと。

でも謝ったと習った覚えがあるのですけれど、記憶違いかなー。

もともとこの話自体が作り話だというのは、
後になって聞いたことはあったのですが、
そもそも謝っていないというのは、
以下に記すように村上龍氏の作品中で初めて意識しました。

アメリカでは、この桜の木の話は、切った斧に焦点をあてて、
「ワシントンの斧 George Washington's axe」
として一般に知られているようです。

つまり父親から誕生日の贈り物としてもらった斧の切れ味を
試すために、父親が大切にしていた庭の桜の木を切った。

《George Washington's axe》
http://www.biographybase.com/biography/Washington_George.html

《Admirers of Washington circulated an apocryphal story about
his honesty as a child. In the story, he wanted to try out a new axe and chopped down his father's cherry tree; when questioned by his father,
he gave the famous non-quotation: "I cannot tell a lie. It was I who chopped down the cherry tree." The story first appeared after Washington's death in a naive "inspirational" children's book by Parson Mason Weems, who had been rector of the Mount Vernon parish. See also George Washington's axe for an elaboration of this story.》

うーん。
確かに、嘘はつけないと、自分が切り倒したと告白はしても、
その行為に対して、ごめんなさい、すみませんといった
謝罪の言葉はないですね、事実を告げただけ。

父親は、なかなか言えないことを言ったこと、
つまり嘘をつかなかったところを
評価したということになっていますね。

こんなキャンディーが。

George Washington Cherry Axe Candy
http://candyaddict.com/blog/2005/12/07/george-washington-cherry-axe-candy/

村上龍氏のワシントンの桜の木のエピソードについては、
無趣味のすすめ》(アマゾン)
無趣味のすすめ》(楽天)に出ています。

《重要なのは、ワシントンは謝罪はしていないということだ。
ワシントンは「わたしが木を切りました」と、正直に告白しただけで、
ごめんなさいと謝ったわけではない。》

なお「George Washington's axe」は、
このストーリーをさすだけではなく、
古典的なアメリカンジョークとなっています。

自分は、有名なワシントンの斧を持っている。
けれど、柄をかえ、刃の部分も替えた。
それじゃー、元の斧は、全く残っていないじゃないか
(「ワシントンの斧」ではないじゃないか)というものです。

臓器移植の議論の時に、このGeorge Washington's axeを
聞いた覚えがあります。

角膜、心臓、腎臓…。では脳を移植できたとして、
果たして移植を受けた人は、それでもその人なのか?
その人らしさは、なんなのかという哲学的な命題を含んだ問いでした。

他の人の移植を受けなくても、我々の細胞は、
長期短期の違いはあるにせよ、
どんどんと入れ替わって、個体を維持しているのですが。
(生物学者の福岡伸一先生によれば、
我々、生き物は動的平衡の中、生きている)

動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか》(アマゾン)

ワシントン大統領の伝記に、この桜の木の話は、
必ず入っていたと思うのだが、今でもそうなのだろうか?

1984年刊行。
ワシントン―アメリカ建国の父 (講談社火の鳥伝記文庫 (52))》(アマゾン)

調べていたら、Lincoln's axeという逸話も。
(上のワシントンの斧の別バージョンのジョークの意味もある)

こちらは、リンカーン大統領の名言。
準備をしっかりせよとの意味あいだとか。

Give me six hours to chop down a tree
and I will spend the first four sharpening the axe.

http://www.brainyquote.com/quotes/quotes/a/abrahamlin109275.html
(あれ、これと同じような意味合いの諺、格言ってなかったけなー)

歴代の大統領の名言を集めたもの。2010年2月発刊。
アメリカ大統領 英語名言集 (J新書)》(アマゾン)

2008年7月に、アメリカのジョージ・ワシントン財団が、
ワシントンの少年時代(6歳から20歳まで)の住居跡が見つかったが、
そこからは、桜の木も斧も見つからなかったと発表。

斧はともかく、やっぱり桜はなかったか。

こちらがその旧農場(Ferry Farm)
http://www.kenmore.org/

生まれた家は、現在、国立公園になっています。
《George Washington Birthplace National Monument 》
http://www.nps.gov/gewa/index.htm






nice!(1)  コメント(3)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

nice! 1

コメント 3

西川秀和

ちょっと記事を見て気になったのでコメントさせていただきます。

実は私はジョージ・ワシントンについて調べたことがあるんですが、桜の木伝説でワシントンが謝ったことになっているのは日本だけのようです。

もともとのアメリカの話では謝ったことにはなっていませんが、日本で創作がさらに加わって謝ったことになったようです。

ですから記憶違いではないと思いますよ。

もしご興味がおありなら上記のURLをご覧下さい。桜の木伝説についてまとめています。
by 西川秀和 (2010-08-26 12:57) 

西川秀和

追伸。Guestのところをクリックすると該当のURLに飛びます。
内容はページの初めのほうと末尾にあります。
by 西川秀和 (2010-08-26 12:59) 

ガーゴイル

桜の木を切った人物は本当はマウントバーノンである。
by ガーゴイル (2021-09-22 15:42) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました