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大坂なおみさん関連のニュースで「巨費を得ている」。用法は正しいのか。 [気になるニュース]

大坂なおみさんのTwitterでの記者会見
拒否ツイートに始まった騒動は、
全仏オープン2回戦の棄権、
うつ病告白と大きな動きとなっています。

このエントリーは、その論点ではなく、
騒ぎを報じる新聞で、気になる表現が
あったので、そちらを取り上げます。

2021年6月2日、東京新聞。
《「不安を罰しないで」「プロとして失格」
大坂なおみのツイートに大反響 
2021年6月1日 22時10分》
https://www.tokyo-np.co.jp/amp/article/108006

《ニュースサイトのコメント欄には、
巨費を得ている大坂を批判する意見も。》

コメント欄なので、
東京新聞の記者の表現ではないとも
考えられますが、地の文として書いているので、
この表現を許容しているものと思われます。
(校閲も通っているし)

さて、巨費とは、どんな意味なのでしょうか。
巨費とは、各種の辞書でも、巨額の費用、
莫大な費用という意味が書かれています。

表現としては、「巨費を投じる」があります。

これまで「巨費を得る」とは聞いたことも、
見たこともありません。

大坂なおみさんは、2020年の雑誌フォーブスによると、
世界の女性アスリートの中でトップの年間3,740万ドル
(およそ40億円)の収入を得ているそうです。

なので、「巨額の報酬を得ている」ことは確かです。
しかし、表現として「巨費を得る」はおかしいですね。

Googleで《巨費を得》で検索したところ、
上の新聞記事の他に出てきたのは、
《この事態に対して清水教授は私財5千円を投じ,
国から合計35万円という巨費を得,そのうち28万円で
旧生化学教室(建坪997.91平方メートル,3階建,
屋上庭園付き)が昭和7年(1932)に竣工しました。》
https://www.bunka.go.jp/pr/publish/bunkachou_geppou/2012_01/series_09/series_09.html

国から教室の建物にかかる
「巨額の費用を得た」という意味ですから、
この使用方法は、問題ない表現ですね。

《近年中国における徐福研究の盛況と『史記』記事の吟味》
《『史記』にみえる徐福 (徐市とも、~前二一九~二一〇~) は、
不老不死の薬の獲得を始皇帝に勧めて巨費を得たぺてん師として描かれている。》
https://ci.nii.ac.jp/naid/110004671733

徐福についての論文。
徐福は、不老不死の薬を探し出すため、
扶桑の国(日本)に来たともされていますが、
ともかく、そうした薬を探し出すためにかかる
莫大な費用を始皇帝から得たということなので、
これも問題ない使用方法ですね。

やっぱり、新聞の「巨費を得る」はおかしいかなー。


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