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中国では350キロ越え。東北新幹線では2年後でも320キロ。日本の新幹線はなぜ速度で負けるのか? [気になるニュース]

東北新幹線全線開業。
東京と青森がようやくつながりました。

現在、東京から新青森までは、3時間20分。
2011年3月5日デビューのE2系「はやぶさ」で、3時間10分。
2012年度には、最高時速320キロで、3時間5分になるとされています。

しかし、お隣の中国では、すでに時速350キロの
高速列車が走っています。

なんでここまで差がつけられたのか?

2011年3月5日からの「はやぶさ」(E5系)の
最高速度は大宮駅 - 宇都宮駅間で時速275キロ、
宇都宮駅 - 盛岡駅間で300キロ。

2013年春には宇都宮ー盛岡間での最高速度が、
E5系単独編成で320キロになる予定。
なお山形、秋田新幹線に導入予定のE6系は2013年春に導入、
E5系とE6系との併結では宇都宮ー盛岡駅で300キロ。

2014年春、すべてがE5系ないしE6系になり、
宇都宮ー 盛岡での最高速度が、
単独併結問わず320キロとなる予定。

高速運転を実施する区間では、
防音壁、トンネル出入り口の高速のための
改良工事を実施予定です。

あれ、盛岡以北、八戸~新青森までは?

実は、その区間は、最高速度が時速260キロに制限されています。

というのは、その区間は整備新幹線として建設されたから。
1970年の「全国新幹線鉄道整備法」で、
「最高速度を260キロ程度とする」と規制されているのです。

これは、建設費の圧縮を図ることが理由。
線路、トンネルなどの構造物を、
出来るだけ安く建設するために、速度制限を設けたのです。

このため、260キロ以上にスピードアップしようとすると、
騒音、振動などの環境基準が満たせなくなります。

それを満たすためには、線路、トンネルに改良工事を施さねばならず、
かなりの費用がかかるとされています。(1分短縮するのに100億円とも)

また整備新幹線の保有者は鉄道建設・運輸施設整備支援機構。
JR東日本、九州は、そこに使用料を支払う形になっています。
速度があがれば、その使用料があがる可能性があるのです。
(東北新幹線、八戸-新青森、北海道新幹線、新青森-新函館、
北陸新幹線、長野-金沢、九州新幹線、博多-新八代、時速260キロ規制)

九州新幹線では、「さくら」が山陽新幹線と直通し、
300キロ運転を予定していますが、
九州新幹線内では、260キロ運転。

これは、上記の規制に加え、九州新幹線の勾配がきついためです。
(このため山陽新幹線の700系レールスターは乗り入れできない)

こうした勾配がきついルートをとっているのは、
距離の短縮で、建設費を低減するという理由からです。

広く、平らな土地で線形も理想的に作れる中国とは、
そこが大きく違っているのですね。

大宮以南(東京ー大宮)は、
建設当時に騒音・環境問題で反対運動があったため、
埼京線の建設、騒音対策、さらに最高速度110キロ規制が行われました。

またカーブも多く、線形が悪く、速度向上が望めません。

新ATC導入の際に、130キロまでの引き上げが計画されました。
それよれば、現行より2分ほど短い所要時間となるはずでしたが、
見送られたようです。

制限の多い日本の新幹線。
制限が取り払われたら、今でも世界一なのですが…。
(それは日本の技術を一部取り入れた中国がそれを実証している)

関連エントリー
東海道新幹線の最高速度を時速300キロに。葛西会長が語る。

                     2011年 2013年
大宮 - 宇都宮間現行240km/h→275km/h、
宇都宮 - 盛岡間   275km/h→300km/h、320km/h

東京-岡山   676.3km
東京-新青森 674.9km

○E5系の騒音防止対策
 先頭部分を非常に長くとったデザイン。
 トンネルに高速で突入する際に起こる爆音を最小限に抑えるため。
 パンダグラフ
 最小限の本数にし、風の抵抗を抑える形状に。
 吸音板 
 車体側面に吸音板を設置、音を吸収するゴム素材を採用。
 台車カバー
 車両の下部をカバーで覆った。車輪の騒音を抑えるため。
 フルアクティブサスペンションの採用。
 車体の傾きをセンサーで制御するフルアクティブサスペンションを全車両に導入。
 左右の揺れ防止。
 カーブ通過の際には、空気バネで車体を傾斜させ遠心力を緩和。

○東北新幹線の最高速度
 1982年開業時(大宮―盛岡間):210キロ
 1985年の上野―大宮駅間開業時:240キロ
 1997年、「E2系」導入時:(現行の)275キロ
 2010年、新青森まで全線開業:  275キロ
 2011年3月5日、E2系統導入:300キロ
 2013年(2012年度末):(はやぶさ)320キロ

○山陽新幹線、500系 最高速度300キロ。
○東海道新幹線 最高速度270キロ(制限)
 (N700系、2007年から、区間の3分の2を270キロで走行)

 なお、JR東海は、上記エントリーの営業最高速度300キロに引き上げの他、
 2011年後半をめどに、一定の条件のもと、一部区間において営業最高速度を
 330キロに引き上げる検討に入ったとも報道されています。
 2009年12月8日、日本経済新聞。
 「東海道新幹線、時速330キロ運転を検討 JR東海、11年後半にも」

追記(2012年11月23日)
○日本の新幹線は安全性を重視。
 最高速度時速330キロ走行が可能であっても、
 余裕を見て、最高速度270キロに落とす。
 一方、中国は、安全性に対する認識、
 またスタッフの意識、技能、習熟度が低く、
 余裕ももたせず、最高速度を追求。
 このため重大な事故を起こしてしまった。

新幹線の専門情報誌。(季刊)
もちろんこの号では、東北新幹線特集。
綴じ込み付録は、新幹線DATA BOOK E5系。

新幹線 EX (エクスプローラ) 2010年 12月号 [雑誌]


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nikitoki

東日本旅客鉄道(JR東日本)は2013年3月7日、今月16日のダイヤ改正で国内最速の時速320キロ運転を始めるはやぶさの試乗会を開きました。はやぶさの車両「E5系」は車体の揺れを感知し、左右の振動を低減する装置、カーブで車体を傾け遠心力を緩和する装置も採用。すべての台車をカバーで覆うなどして、騒音を出さない措置をとっています。ドイツ製ブレーキ装置を採用。時速320キロでもこれまでと同じ程度のの距離で停止可能です。気の早い話ですが、JR東日本は時速360キロまでの高速化を目指して、今後も開発が続けられます。
by nikitoki (2013-03-08 00:50) 

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