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中国では500元以下の万引きは刑事事件になりません。一方、日本は厳罰化? [気になるニュース]

覚せい剤を日本に密輸しようとし、死刑を科せられた
日本人の刑が中国で執行され、罰が重すぎるのでは
と量刑の妥当性の是非が問題となりましたね。

それを毎日新聞の余録が取り上げています。

ちょっと読むと、少し驚くべき事実が紹介されています。

2010年4月8日、
《余録:日本で万引きによる窃盗や…》
http://mainichi.jp/select/opinion/yoroku/news/20100407ddm001070017000c.html

《日本で万引きによる窃盗や、警官とのいざこざでの公務執行妨害で
逮捕や起訴された中国人は差別されたと不満を抱くという。
比較法学の王雲海一橋大教授によると、日本人ならそんな「小さなこと」で
刑事事件にしないと思うらしい▲
というのも中国では500元以下の盗みは刑法上の窃盗にならないという。
発覚しても大半がその場限りの行政処分や被害者との話し合い、
叱責(しっせき)ですませる。この日中の法意識の違いが
「差別」の誤解を生むのだという
(「日本の刑罰は重いか軽いか (集英社新書) 」集英社新書)》

この王教授の本を読んでいないので、断定できないのですが、
中国の部分だけを取り上げ、日本の窃盗犯(万引き)を
どのように処分するのかについて書いておかないと、
誤解を招く恐れがあると思います。

500元は、おおよそ7000円。
それ以下の盗みは、刑事事件と扱わないで、
《その場限りの行政処分や被害者との話し合い、
叱責(しっせき)ですませる。》というのが中国。

これに対して、日本は7000円ほどの盗み(万引き)を
どう取り扱うのでしょうか?

例えば、スーパー、書店などで万引きをし、
店員、保安員が犯人を捕まえた場合、店内で、謝罪、賠償がなされれば、
そこで、解放し、処分が終わる場合もありますが、
最近の傾向としては、警察に引き渡し、被害物件の価格のみならず、
警察の手続きにかかった店員の人件費までも賠償の対象にするという
傾向があるようです。

警察に行った場合どうなるのか?

被害額、初犯かどうか、取り調べの態度(素直に調べに応じ、
事実を述べているか、反省の弁を述べているか)、賠償したかなどを考慮し、
検察に送致せず、警察にとどめ、「微罪処分」とすることがあります。

微罪処分になった場合、警察限りで捜査が終結し、
それ以上、刑罰はうけません。
(刑事訴訟法第246条但書・犯罪捜査規範第198条)。

微罪処分の場合、微罪処分事件報告書を作成し、
事件の概要を検察官に報告します。(犯罪捜査規範第199条)。

その後、訓戒、保護者、雇い主を呼び出し、
注意を与えるなどを行います。(犯罪捜査規範第200条)

《刑事訴訟法第246条
司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、この法律に特別の定のある場合を除いては、
速やかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならない。
但し、検察官が指定した事件については、この限りでない。》
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23HO131.html

《犯罪捜査規範第198条(微罪処分ができる場合)
捜査した事件について、犯罪事実が極めて軽微であり、
かつ、検察官から送致の手続をとる必要がないと
あらかじめ指定されたものについては、送致しないことができる。

犯罪捜査規範第199条(微罪処分の報告)
前条の規定により送致しない事件については、その処理年月日、被疑者の氏名、
年齢、職業及び住居、罪名並びに犯罪事実の要旨を1月ごとに一括して、
微罪処分事件報告書(別記様式第19号)により検察官に報告しなければならない。

犯罪捜査規範第200条(微罪処分の際の処置)
犯罪捜査規範第198条(微罪処分ができる場合)の規定により事件を送致しない場合には、
次の各号に掲げる処置をとるものとする。
1被疑者に対し、厳重に訓戒を加えて、将来を戒めること。
2親権者、雇主その他被疑者を監督する地位にある者又はこれらの者に代わるべき者を呼び出し、将来の監督につき必要な注意を与えて、その請書を徴すること。
3被疑者に対し、被害者に対する被害の回復、謝罪その他適当な方法を講ずるよう諭すこと。》
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S32/S32F30301000002.html

もちろん、警察で逮捕・拘留し、検察に送致する場合もありますが、
(その後も起訴されず、不起訴処分になることも多い)
逆に、微罪処分にもせず、「説諭」で終わる場合もあるようです。

というわけで、すべての万引き犯を、
刑事事件にして、送致している訳ではありません。

なお以上の傾向が、2006年の刑法改正で変化したと言われています。

20006年に刑法の窃盗罪の規定が改正され、従来、懲役しか
科せられなかったところ、罰金も科せられるようになりました。

「10年以下の懲役または50万円以下の罰金」(刑法235条)
http://www.moj.go.jp/houan/houan_keiho-keiso_refer05.html

窃盗罪に罰金刑が導入されたのは、
万引犯が増加しており、それを抑えるという狙いです。

それまで軽微な窃盗は、上に書いたように不起訴処分・微罪処分が
比較的多かったのですが、改正以後は、軽い処分ですませず、
略式起訴を行い、罰金刑を科す傾向が強まったと言われているようです。

少額の万引きでも罰金が科せられるようになったという意味で、
日本の刑法は、万引き、窃盗に厳しくなったと言えるかもしれません。

オールアバウト、防犯。2007年5月7日。
《万引き」イコール「罰金刑」》
http://allabout.co.jp/family/bohan/closeup/CU20070507A/

1個100円余りのおにぎりを万引きし、20万円の罰金を科せられた
という事例も出てきています。

さらに万引きした後、見つかったので、振り切ったところ、
保安員に怪我を負わせたというような場合は、
単なる万引き犯ではなく、「事後強盗」となり、強盗罪として扱われ、
刑罰が格段に重くなります。(刑法第238条)

くれぐれもおろかな行為をしないようにしましょうね。


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