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豆腐はチーズから生れたのか? [グルメ]

食べる西洋美術史 「最後の晩餐」から読む》という
食を通して美術を考察している非常に興味深い新書があります。
(親しい友人も大学時代の専攻は、図像解釈iconographyだったので、
以前から興味があった。新書に珍しいカラーの図版が
多用され、目からも理解が広がる。宮下助教授の去年11月に出された

イタリア・バロック―美術と建築》も、見事な図版と解説で、
バロック美術を
体系的、網羅的に紹介している秀逸な著書


その著者である神戸大学助教授の

宮下規久朗さんが、

日経新聞朝刊で《食事の至福十選》という連載をされています。

3月8日は、《カンピ「リコッタチーズを食べる人々」》を
取り上げ解説しています。

宮下規久朗さんのブログ《宮下規久朗 美術史研究室

 

リコッタチーズは、ricotta(再びri煮たcotta)からわかる通り、
チーズを作る過程で出来た乳清ホエーを煮詰めて作ったもの。
イタリアの南の地方で作られるフレッシュチーズです。
乳脂肪をとった後の乳清が元なので、さっぱりしていて、
豆腐の
ような味わいです。

宮下さんは、記事の中で《チーズのかたまりは豆腐のように
見えるが、
そもそも豆腐自体、唐時代に中国人が北方民族の
食べているチーズを
模倣して大豆で作ったものであり、味も食感も
似ているのは当然である。》
と記述されています。

なんの起源に関しても、諸説があり定まらないことが多いのですが、
チーズに関しては、紀元前4000年位に、遊牧民族が作り出した
と言われています。
(他にアラブの商人がキャラバン中に羊の胃袋に入れておいたヤギの乳が自然にチーズになったとの話もある)

豆腐に関しては、中国が発祥というものが有力。
但し時代は、唐時代より更に遡り、前漢時代、紀元前2世紀という説が
広く流布されているようです。

お豆腐の業界紙が開いているサイト《お豆腐ランド》の
豆腐の歴史(1)豆腐の発祥はいつまでさかのぼれる?では、
《豆腐は、紀元前2世紀、前漢の淮南王・劉安が初めて
作った
という伝説》を紹介しています。

伝説とあるように、確かなものとして信じられていなかった所も
あるのですが、はっきりさせようと訪問団を結成した方々がいました。
日本豆腐起源問題考察訪問団報告
その団長は、同志社大学名誉教授の三輪茂雄さんです。
三輪先生は、粉体工学の専門家。
物質を粉にすること、粉の特性などを
研究する学問で、
臼や鳴き砂などの研究をされている方。
粉と臼》《粉の秘密・砂の謎》など多数の著書を出されています。
三輪先生のホームページ
なぜ先生が豆腐と関係あるかというと、豆腐を作るには、大豆を
臼で
どろどろにしないと出来ないから。その臼がいつの時代から
あるのか
わかれば、豆腐の起源にある程度の目安がつけられる
からです。

調査をした結果、豆腐の起源は淮南であり、
《豆腐の起源はおそくても後漢まで遡る。》と結論を出されています。

《その根拠の第一は淮南の現地で,大きな穴があいている明器が寿春の
報恩寺にある寿州博物館に展示されていること。乾式の粉ではこのよ
うに
大きい穴はいらない。これは豆腐など湿式粉砕の可能性大と
考えられる。》から。
詳しくは、《豆腐の起源はやっぱり淮南だった証拠

この淮南は、現在の安徽省にあたります。
「豆腐の発祥の地」を観光の目玉にして、売り出しているようです。

随分前になりますが、ABC(朝日放送)の初代上海支局長
安田卓生さんの
中国取材記の中に、
豆腐のふるさと~安徽省1993年~》という
詳しいレポートがあります。

そこには、豆腐がいつ、どのように生れたのかについて、
《紀元前179年、劉安は数千人の科学者や知識人を集めて不老長寿
の薬を作ろうと試みた。その実験中に偶然、生まれたのが豆腐だった
という》と記されています。

上記前出の《お豆腐ランド》の
 2003年1月の業界の流れ》《1月11日号より》中に
《豆腐発祥伝説がある中国の准南市には中国豆腐村があり、
正式には大泉村といい
大きな泉をたたえている。(2003-1-11号)》
とあります。
ちなみに日本に豆腐が伝わったのは、朝鮮半島からとの説もあり、
(遣唐使が唐から直接伝えたとの説が有力だそうだが)
その韓国の豆腐村についても記されています。
《韓国では東北部の江原道にある「豆腐村」が観光資源になっており、
また韓国の豆腐業者には同地の出身者が多い。(2003-1-11号)》

准南市のホームページには、豆腐文化について掲載されており、
2005年9月に開かれた12回目の豆腐文化祭のメニュなどが
紹介されています。
http://www.hn.gov.cn/%BD%DA%20%C8%D5/df/dfwh.asp(中国語)

イタリア人が認めたブルネロにあう沖縄の「チーズ」
でも書きましたが、豆腐とチーズは、代替性があります。
また豆腐と味噌は相性がいいですが、チーズも味噌とあいます。
ですから、モッツァレラをお好みに切って、豆腐の味噌汁ならぬ
モッツァレラの味噌汁なんていけますね。

沖縄の島豆腐は、日本本土の作り方と異なり中国風です。
本土では、先に大豆をゆでてからすりつぶしますが、
沖縄では、生の大豆を先にすりつぶしてから、煮ます。
中国からの使者をもてなすために、
中国のやり方を
直接受け入れたからだそうです。


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