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市川海老蔵丈が2020年に十三代目市川團十郎白猿を襲名。白猿とは。歌舞伎俳優と俳号・俳名。 [気になるニュース]

歌舞伎俳優の市川海老蔵丈が、
2020年に十三代目市川團十郎白猿を
襲名することが13日、松竹から発表されました。

2020年5月から7月の3ヶ月間、
東京・歌舞伎座で襲名披露公演を行うとのことです。
(その後、博多、大阪、京都、名古屋など、
全国各地で襲名披露公演が行われます)

あわせて長男の勸玄くんも
八代目市川新之助を襲名するそう。

市川團十郎の名跡は、
江戸歌舞伎の中心の大名跡。

現在の海老蔵丈の父である
十二代目市川團十郎丈が
亡くなったのは2013年。

2020年に十三代の襲名がなれば、
7年ぶりに團十郎が復活することになります。

ところで、気になるのは
團十郎のあとにある「白猿(はくえん)」。

これは何なのでしょうか。




記者会見でも触れられていましたが、
これは五代目市川團十郎の俳号で、
のちに芸名としても使われたものです。

五代目は、この俳号について、
「祖父は栢莚(はくえん)、親は五粒(ごりゅう)、
倅(せがれ)は海老蔵の節、栢莚、
私は白い猿と書いて白猿と申します。
この心は名人上手に毛が三筋足らぬと申す義でござりまする」
と由来について語っているとのこと。

今でも「猿は人間に毛が三筋足らぬ」
と言われますが、五代目の生存していた
江戸時代、こうした俗説があり、
それにちなんだものです。

海老蔵丈自身、この名について、
「私も、この度、團十郎襲名ということではございますが、
やはり父や祖父の足元にも及ばぬという気持ち。
これから精進していこうという気持ちも含めまして
会社の方々とお話をして、白い猿という方向性で
お願いします、と」と説明しています。
(父である十二世の俳名は柏莚はくえん)
http://www.naritaya.jp/profile/danjuro.php

歌舞伎俳優と俳名の関係ですが、
江戸時代、歌舞伎俳優は素養として
俳諧など風流の道をたしなむ人が多かったのです。
俳諧のための号として「俳号」が生れたのです。

俳諧をして俳号を持つことが、歌舞伎俳優の
あいだで一般的になる従って、「俳名」に変化。
(さらに現在の俳優名に)

この「俳名」が役者の愛称となり、
大向こう(役者に声をかける)の時に
使われるようになりました。

時代が下ると、名題以上の役者は、俳諧を行う行わないに
関わらず俳名を持つようになり、それが上のように、
名跡(芸名)となることもあったのです。

例えば、市川團十郎の市川宗家では「三升」、
中村歌右衛門系統では「芝翫」「梅玉」が
俳名由来の名跡です。

また猿翁、白鸚なども俳名を
名跡にしたものです。

現在の歌舞伎俳優で俳句が
得意と言われるのは、
二代目松本白鸚丈です。

俳名は錦升。
これは文化文政期の
五代目幸四郎が使っていたものだそう。

幸四郎時代に俳句について
書かれた作品があります。

日本ペンクラブ、電子文藝館
《役者幸四郎の俳遊俳談》
http://bungeikan.jp/domestic/detail/700/

そこで
《歌舞伎役者と俳句》について詳しく書かれています。

《江戸時代から歌舞伎役者はみな俳名を持ち、
俳句を嗜みとしていました。そもそもの始まりは
初代団十郎の七夕の当たり狂言「巡逢恋七夕めぐり
あふこひのたなばた」を祝って大坂の俳人・才麿が
牽牛にちなんで「才牛」の俳名を贈ったことによるといいます。》

そう歌舞伎俳優が俳号を持ったのは、
初代市川團十郎丈なんですね。

初代市川団十郎は才麿を師とし、
さらに二代目は宝井其角の門下となり、
三升・才牛・栢筵と号しました。

その日記「老のたのしみ」には師匠である宝井其角、
小川破笠(はりつ)などとの交流が記されています。
http://www.dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/991270/58?tocOpened=1

成田屋のサイト中の「才牛(さいぎゅう)」
《御当地の椎本才麿<しいのもとさいまろ>に入門し、
俳諧<はいかい>を学んで、その時丁度七夕の牽牛
<けんぎゅう>役をしていた事から才牛の名を貰う。
役者の俳名のはしりである。》
http://www.naritaya.jp/naritaya/dictionary/sa.php#01

「白猿(はくえん)」
《これは七代目の祖父五代目團十郎が初めて用い、
二代目、四代目と音<おん>は同じくしながらも、
父祖のように名人上手に及ばず、毛が三本足りない
「白猿」と称し、口上にも述べた。》
http://www.naritaya.jp/naritaya/dictionary/ha.php#02

《栢莚<はくえん>》
《陰陽道<おんみょうどう>でいう五行<ごぎょう>、つまり
木・火・土・金・水のうち「木」にあたる生まれの二代目は、
120歳まで延命をと、「木、百、艸(即ち二十)、延」を
組み合わせて名ができた。》
http://www.naritaya.jp/naritaya/dictionary/ha.php#01

江戸時代より延々と続く團十郎という名跡。
それにふさわしい立派な歌舞伎俳優となって、
われわれを楽しませてくれることを願っています。

《市川海老蔵改め 十三代目市川團十郎白猿 襲名披露会見》
https://www.youtube.com/watch?v=u8q6bs4ZmwM



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