長野ではなぜ、○○盆地と言わず、○○平と呼ぶのか？

2011年2月6日の産経新聞で、
長野支局長笠原健さんが
《善光寺平？　松本平？　それって一体、どこのことですか？》
との文を書かれています。

長野に赴任して以来、不思議に思っていることの一つが、
《善光寺平（ぜんこうじだいら）、松本平（まつもとだいら）といった言葉》

笠原さんは、山形県のご出身で、
そこでは、《山形盆地、米沢盆地という言い方はするが、
山形平、米沢平という言い方はしたことがない》と。

逆に《長野県人（信州人）は長野盆地、松本盆地といった言い方をしないようだ。》
そして
《なぜ信州人は「盆地」と
いわずにわざわざ「平」と言うのだろうか》と疑問を呈していらっしゃいます。

地元の人に聞いてみたところ、《人が多く住む場所はこうした山々に囲まれた狭隘な土地。
関東平野のような広々とした空間を持たない信州人は
この土地で生きていくしかない。それを「盆地」といっては
身も蓋もないから「平」と呼んでいる。》

コレを読んでも腑に落ちませんが、笠原さんも
《今ひとつ納得がいかない》ということで、以来、気に掛けていらっしゃるよう。

日本3大車窓の姨捨（おばすて）駅での景観を体験し、
《雄大な自然に囲まれた信州人を本当にうらやましく思った》
とのことですが、《それから１年以上たった今もなぜ信州人がこの土地を
「善光寺平」と呼ぶのか、その心象風景を読み取ることができていない》
とのことで、
《長野県にいる間にその心象風景をぜひ読み取りたいと思う》
と締められています。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110206/stt11020612010005-n2.htm

笠原さんが記事中にもあげていた
県歌「信濃の国」の歌詞
http://homepage1.nifty.com/ishato/tiri/sinano/kasi.htm
1番
《信濃の国は十州じっしゅうに 境さかい連つらぬる国にして
聳そびゆる山は　いや高く　 流るる川は　いや遠し
松本　伊那　佐久　善光寺　 四つの平たいらは肥沃ひよくの地
海こそなけれ　物さわに　 万よろず足たらわぬ事ぞなき》

「平」は、地名の下に付け、「たいら」「だいら」として使いますね。
長野以外だと、日本平、八幡平（こちらは、「はちまんたい」）。

盆地と平では、どうも「平（たいら、だいら）」の方が
古くから使われてきた言葉（和語）のよう。

善光寺平は、盆地でいうと長野盆地。

学校の教育、博物館などの展示では、
「長野盆地」と習いもし、表記するようです。

しかし「平」という呼び方が一般には、
ずっと残ってきているみたいですね。

確かに長野にもう何十回と行っていますが、
善光寺平、佐久平は聞いたことはあっても、
長野盆地、佐久盆地は聞いたことないなー。

http://www.city.nagano.nagano.jp/museum/main/02-jyousetsu1f.html

「平」が「山に囲まれた、広い平地。」とすれば、
八幡平は、その意味ではなく、盆地ではないなー。

日本平は？
日本平（静岡県）の名前の由来
《日本武尊が東征の際、草薙の原で野火の難にあい賊を平定した後、
この山の頂上に登り四方を眺めたところからこの名で呼ばれるようになった》
http://www.nihondairakankou.com/

「山間の平地」という意味の「平」よりも、
どちらかというと、「平らげる」から来ているということなのかなー。

他にも「平」は？

日光の明智平って展望台のある所には行ったなー。
http://www.nikko-jp.org/perfect/chuzenji/akechidaira_tenboudai.html
こう考えると、山地で開けた場所っていう意味ですね。

徳島には平家平が。
これも山の中の開けた場所ですね。
ちなみにこちらは、壇ノ浦で破れた
平家の一門の人達が、安徳天皇を連れて逃れたとの場所。
（福井県にもあるようです
http://www.ono-kankou.jp/tourism/detail.php?cd=28

それに対して盆地は、一般的な用語としても使うけれど、
地理（学）の用語として、
「周囲を山地によって囲まれた平地」という意味で、
使うっていうイメージかなー。

そういえば、先日、スキー場を探していて、
見つけたのですが、山形にも「導照寺平」とか、
リンゴが美味しい「和合平」など、盆地ではありませんが、
「平」とつく地名はあるようですね。

次回、佐久平にお邪魔した時に、
なぜ長野で「平」が残ったのか、聞いてみることにしましょうか。