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鏡開きとスコーン。刃物で切ってはいけない。運命の石。鏡割り。揚げ餅、お汁粉。

皆様、1月11日、鏡開きをして、
お汁粉を召し上がりましたか?

1月11日、鏡開きの日ですね。

2011年1月11日、読売新聞の「編集手帳」では、
脚本家・向田邦子さんのテレビドラマ
「阿修羅(あしゅら)のごとく」の
鏡開きの場面を取り上げています。

《「これ、油で揚げて、塩振るとおいしいんだ…」。
三姉妹(加藤治子、八千草薫、いしだあゆみ)が
久しぶりに顔をそろえた実家の台所である
◆にぎやかなおしゃべりのなかで姉妹は
鏡餅を金づちで砕き、欠き餅を揚げる。》

これを読んで、違和感をもたれた方はいらっしゃいませんでしょうか?

本当に向田邦子さんは、
「鏡餅を金づちで砕き、欠き餅を揚げる。」
という場面を書いたのか?

というのは、鏡餅を「開く」(割る)ときは、木槌を使い、
金気のあるもの、例えば金槌を使ってはいけない、
ましてや包丁で切ってもいけないと教えられていたからです。

皆様のお宅ではいかがでしたか?

そもそもこの「鏡開き」という言葉、
以下のような意味です。

鏡開き 広辞苑第六版
《「開き」は「割り」の忌み詞)
(1)正月11日ごろ鏡餅を下げて雑煮・汁粉にして食べる行事。
近世、武家で、正月に男は具足餅を、女は鏡台に供えた餅を
正月20日(のち11日)に割って食べたのに始まる。鏡割り。[季]新年
(2)祝い事に酒樽のふたを開くこと。鏡抜き。》

《かがみ‐びらき【鏡開き】〘名〙
①正月に供えた鏡もちを割り、雑煮や汁粉にして食べる行事。
古くは一月二〇日、現在は多く一一日に行う。鏡割り。
②酒樽さかだるのふたを抜くこと。鏡抜き。
◆「開き」は「割り」の忌み詞ことば。
明鏡国語辞典 (C) Taishukan, 2002-2008

もともと武家の行事で、1月20日でしたが、
1月11日となったのは、江戸時代で、
三代将軍家光が慶安4年4月20日に亡くなったため、
20日が月命日にあたり、忌日(いみび)になったから
とされているようです。

金物はダメで、「切る」という言葉を避けるのも、
武家の習慣だったから。

刃物で切るのは、「切腹」を連想させますので。

そこで、鏡餅を割るのは、手や木鎚を使い、
「切る」「割る」という言葉を避けて「開く」という表現を使ったのです。

鏡は、丸く円満。「開く」は、末広がりでおめでたい言葉。

小さい頃、剣道を習っていましたが、
1月11日(曜日の関係で別の日になることも。1月8日?)
の稽古の後は、みんなでこの鏡餅を小さくしていれた
お汁粉を食べた思い出があります。

さて、鏡餅は、包丁などの刃物をあてて切らない
というタブーですが、同じく刃物を入れて切ってはいけない
という食べ物が西洋にもあります。

皆さん、ご存じでしょうか?

それは、日本でも一般的になってきたスコーンです。

このスコーンという食べ物は、スコットランドのスクーン城にあった
「運命の石(STONE OF SCONE)」(スクーンの石)
に由来すると伝えられています。

この「運命の石」は、スコットランドの国王の戴冠式で、
玉座として使われてきた、非常に大切な石。
歴代の王は、この上に立って王となるのです。

このため、それに由来するスコーンは、
「神聖なものにはナイフを入れてはいけない」との伝統から、
ナイフで切って食べず、スコーンの「おおかみの口」と言われる
割れ目から、「手」で割って食べるのが正式な頂き方のようです。

さてこのスコットランド人にとっては、大切な「運命の石」ですが、
実は、、1296年にイングランドのエドワード1世によって、
持ち去られ、戴冠いすにはめ込まれます。

それが置かれたのは、英国国教会のウェストミンスター寺院。

その後、この「運命の石」がはめこまれた椅子は、
代々のイングランド王の戴冠式で使われることとなります。

そして、1996年、トニー・ブレア政権時代に、なんと700年ぶりに、
スコットランド人の悲願である返還がなされました。
現在、「スクーンの石」は、エディンバラ城に安置されています。

運命の石―スコットランド・ミステリー》(アマゾン)

Stone of Scone


《スコットランドと「運命の石」 : 中世における王国の統合と神話の役割
(<特集>共同研究報告 : 欧米諸国における多文化の問題と日本の課題(続))》
http://nels.nii.ac.jp/els/110001060203.pdf?id=ART0001220588&type=pdf&lang=jp&host=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1251283271&cp=

スコットランドと「運命の石」 : 中世における王国の統合と神話の役割(続)
http://nels.nii.ac.jp/els/110001060221.pdf?id=ART0001220622&type=pdf&lang=jp&host=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1251283319&cp=


下の本の表紙は、鏡開きで作った「揚げ餅(かき餅)」の写真です。

阿修羅のごとく―向田邦子シナリオ集〈2〉 (岩波現代文庫)》(アマゾン)


阿修羅のごとく―向田邦子シナリオ集〈2〉 (岩波現代文庫)

阿修羅のごとく―向田邦子シナリオ集〈2〉 (岩波現代文庫)

  • 作者: 向田 邦子
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2009/05/15
  • メディア: 文庫


映画の中でも、鏡開きで、揚げ餅のシーンがありました。

阿修羅のごとく [DVD]》(アマゾン)

こちらが、編集手帳で取り上げられていたテレビドラマの方。

阿修羅のごとく-全集- [DVD]》(アマゾン)

オールアバウト、紅茶。2005年12月22日。
《ティータイムミステリー運命の石》
http://allabout.co.jp/gm/gc/218230/
シネマ食堂、《「阿修羅のごとく」/揚げ餅》、2009年1月9日。
http://www.aera-net.jp/magazine/cinema/090109_000568.html


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