「油かす」が人気。「被差別の食卓」。ソウルフード。
皆さん、「油かす」をご存じでしょうか?
肥料の油かすではなく、食べ物の方です。
関西地方、それも河内地方の方なら、
口にしたことがあるかもしれません。
それが、東京にも広がっているんですね。
2009年6月22日、産経新聞。
《庶民の味「油かす人気」、品薄で高騰》
http://sankei.jp.msn.com/life/lifestyle/090622/sty0906221525004-n1.htm
《油かすはぶつ切りにした牛の腸を揚げて作る食材。》
記事にもあるようにこの「油かす」は、
関西でも知っている人は少ないものでした。
というのは、もともとこの「油かす」は、
《「食肉解体に従事する人たちを中心に食べられていた食材》だったから。
油かすを含む、こうした料理を
食べ歩いたノンフィクションがあります。
《被差別の食卓 (新潮新書)
》(アマゾン)
この本の内容紹介を引用しましょう。
《大阪のある被差別部落では、そこでしか食べられない料理がある。
あぶらかす、さいぼし…。一般地区の人々が見向きもしない余り物を
食べやすいように工夫した独自の食文化である。》
被差別部落で育った筆者は、世界各地の被差別の民が、
作り上げた食を味わいに出かけます。
黒人料理のナマズのディープフライ、
ブラジルのフェジョアーダ、
ロマ(ジプシー)たちのハリネズミ料理など。
興味深いルポルタージュです。
新潮社のこの本のサイト。
http://www.shinchosha.co.jp/book/610123/
立ち読みも出来ます。
http://www.shinchosha.co.jp/books/html/610123.html
著者の上原さんは、母上が作ってくれた
「あぶらかすと菜っ葉の煮物」が大好物。
「あぶらかす」がソウルフードだったのですね。
(ここから出発し、世界を旅し、最後に「むら」に戻り、母親の料理を食べる)
ちなみに、肥料の方の「油かす」は、
菜種油、大豆油を絞った後の粕のこと。
自分は「油かす」というと、こちらを思い浮かべます。
というのは、実家の狭い庭で、かつて両親が庭を作っており、
肥料として非常に良いということで、この油かすをまいていたからです。
油かすは、有機肥料で遅効性で、
元肥にぴったりなのですが、欠点は、臭い。
周囲が建て込んだ住宅地、マンションでは苦情が出るでしょうね。
しかし最近では、発酵油かす肥料が出回っていて、
その難点も随分、解消されているそうです。
少し前には、「もつ鍋」が流り、市民権を得ました。
今度は、「油かす」。
こうした食文化が、じわじわと社会に浸透し、
それにつれ、差別意識も解消されていくのでしょうか?
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