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「四人の泥棒の酢」、ペストの特効薬。

ハーブ入りのお酢というのを、ヨーロッパでは、
家庭での料理でよく使います。(自宅で作っている家庭も多い)

2009年5月23日、東京新聞、《筆洗》で、
『四人の泥棒の酢』が取り上げられていました。

あなたは、ご存知ですか?


《十七世紀の初め、ペストの感染が広がった南仏に、病死した人の家から金品を奪う罰当たりな四人組があった▼結局、縛についたが、不思議なのは、なぜ彼らは感染せずにすんだか。詮議(せんぎ)に対し、ローズマリーなど何種ものハーブと酢でこしらえた液体を塗っていた、と白状したのだという。それを呼んで「四人の泥棒の酢」というらしい》

このお酢はもともと、
1630年、フランスの南にあるトゥールーズという町で、
ペストが大流行した時に生まれたもの。

当時、ペストに対する特効薬がなく、
人々は、ペストが流行すると、
亡くなった人を焼き、(向こうでは通常、火葬はしない)
町を捨て、避難するくらいしか手はありませんでした。

そんな中、空っぽになった町で、ペストで亡くなった人の家を
もっぱら狙った泥棒4人組が出現。

結局の所、彼らは捕まってしまったのですが、
捕まえた官憲が不思議に思ったのは、
そんな危ない家に入ったにも関わらず、
ペストにかからなかったこと。

厳しく問うた所、一味は、酢にローズマリー、セージ、タイム
などのハーブ類をつけ込んだものを塗っていたことを白状し、
そのレシピと交換で、放免されたと伝えられています。

以後、このレシピに沿ったものを
「四人の泥棒の酢」と命名し、売り出し、
大変な売れ行きをあげたとのことです。

「スパイシーストーリー」、この中にも「四泥棒の酢」が紹介されています。
http://www.nhk-book.co.jp/magazine/special/01_07/06/index.html

Aceto dei quattro ladri
http://www.lifegate.it/alimentazione/articolo.php?id_articolo=1511 

《Vinaigre des quatre voleurs》
http://www.lepetitherboriste.net/affections/vinaigre4v.html
古文書のレシピ。
http://books.google.fr/books?id=lvMvAAAAMAAJ&pg=PA404&lpg=PA404&dq=vinaigre+des+quatre+voleurs&source=web&ots=jJ5k2uUG-S&sig=bIHJ4dFyfcnhnsr3yyB6vBkkvcg&hl=fr&ei=rzSdSe_sH4Oh-gb7hfXgBA&sa=X&oi=book_result&resnum=9&ct=result

こちらにも説明とレシピが。
http://salamandre.unblog.fr/2007/11/09/le-vinaigre-des-quatre-voleurs/

四人の泥棒の酢、製品情報。
http://www.achat-nantes.com/pro175-Vinaigre-des-quatre-Voleurs.htm
結構、お手軽なお値段です。
http://www.cosmetique-bio-nantes.com/rechercher-produit-bio/rechercher-produit-bio.htm

(なお4人の泥棒の酢に関しては、1720年のマルセイユで
ペストが大流行した時に、4人の泥棒が…という説もあるようです)

なお近代医学が発達する前、
ペストの特効薬と考えられていたものは、
ハーブ、スパイス類が多かったようです。

ハーブ等の薬草はペストで汚染した空気を
清めるということで、大量に燃やされることも。

スパイスで言えば、東洋から運ばれた貴重な胡椒。
他にも生姜は、ペストに効くということで、薬のように
服用していたみたいですね。

コロンブスが新大陸からもたらしたタバコも、
ペストに効果ありと信じられていたようです。

お酢で言えば、イタリアのモデナなどの特産品である
真っ黒なバルサミコ酢も、薬効ありとされていました。
(調味料の他に食前酒、催淫剤、精力剤などとしても使われた)

《Il Baisamico》
http://www.museodelbalsamicotradizionale.org/ita/pages/balsamico/05.htm

フィレンツェの有名な修道院が経営する薬局、
サンタ・マリア・ノヴェラ薬局では、
四人ならぬ7人の盗賊の酢,(L'Aceto dei sette ladri)
というものがあり、販売されています。

これは気付け薬ですが、
もともとのフォーミュラが作られたのは、
1600年で、上のフランスのそれより早いようですね。

http://www.italian.it/santamarianovella/smnuk.htm

さらに、「筆洗」では、万能薬パナケイアについても書かれています。

《名に、すべてを治すとの語義を持つギリシャ神話の治癒の女神パナケイア。
万能薬を指す英語(パナシーア)も仏語(パナセ)も、そこに由来する。
ただ「パナセ」の方は、そんな薬は存在しない、という場合に使用は限られる、
とする書物もある》

ローマ神話では、Panaceaパナケア。
(イタリア語もpanacea)

医術を司るアポロンの孫で、
panは全てのを意味する接頭辞。
ceaは、ケアから分るとおり英語のcureで「治す」の意味。

「すべてを治す」、すなわち万能薬。

《ラテン語←ギリシャ語panaacutekeia
(pan-すべての+akos治療+-IA=すべてを治療するもの)]》

英語panacea
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?enc=UTF-8&dname=1na&dtype=1&stype=1&p=panacea&index=05176100

富山にパナケイア製薬という会社があります。
http://www.panakeia-pharm.co.jp/index.html

その綴りは、panakeiaですが、これは、
もともとのギリシャ語のそれをもとにしたようです。


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